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LISAGOは無免許である。免許を取る気はない。
理由は「助手席に乗ってるのがラクちん」だから。
そこでビデオ屋の会員になるときの身分証明はどうするのかと問えば、
「外国人在留証明書があるもん」と返される。
ひゃあ。なんかよくわからんけどカッコいぃっ。
 
在日台湾人三世。
 
そんなLISAGOは、生まれ持った才能を、生まれ持ってしまったがゆえに仕方なく、 面倒くさがりながら小出しにしている、ある意味では贅沢なアーティストといえる。コンビニエンスストアやファーストフード店で愛想を振りまくのは不可能だし、だいたいLISAのスマイルは0円どころかビッグマックよりも高値だし、そもそもそんなことじゃてめぇの内部のグチャグチャが解決しないもんだから、やはり詩を書き、曲を書き、絵を描き、歌わんことにはしょうがない。諦めろ。

 いや、デビューから10年以上を経て、どうやらLISAは諦めたらしい。というか、そんな自分をすっかり受け入れた。受け入れたら案外ラクになって、他人の社交辞令も軽く流せるようになって、信じがたいことだが最近では愛想笑いもそれなりにできるようになった。自分が笑うことでその場が丸く収まる→対立が起きない→面倒くさいことにならない、という図式がまずひとつ。そして何より、そもそもそこに対立する価値があるのか否かを、明確に判断できるようになったことが大きい。かつて、LISAの全身にペタペタと貼りついていた見えざる“取扱注意”ステッカーにビビッていた人々も、今のLISAなら噛みつきゃしないので大丈夫。

 この10年あまり、メジャーとインディーズを行ったり来たりしながら、LISAGOはLISAGOなりに成長してきた。称賛されたり持ち上げられたり、文句言ったり反抗したり、詞曲を提供したり歌を唄うことに専念してみたりと まぁ大波小波でどんぶらこ、紆余曲折ありまくりの波瀾万丈な日々。そして2004、満を持してか?長年所属した事務所を出家した後 せっせと曲作りに励み、作家としての営業活動も精力的にこなし、結果、これまでで最も“自立した”LISAGOを見せるに至り、旧知の人間を大いに驚かせている。書き下ろされる楽曲は相変わらずヒリヒリと身体中の粘膜を擦るし、その歌声も相変わらず痛々しいほど切実で、圧倒的なパワーを携えているのだが、そこにはなんだか母性的とも言うべき絶対的なやさしさが滲み出てきたように思う。

 その天賦の才ゆえ、いつのときも変わらないようではいても、少しずつ進化しているLISAGOと、LISAGOという音楽。本人いわく、アルバムを何枚出したとか(かなりたくさん出しているが)、誰に楽曲提供したとか(多重人格的に幅広いジャンルで書いているが)、いわゆるステータスが先行するような情報にはまったく興味がないらしいのでここでは割愛する。LISAGOを聴いて、もしも興味が湧けば、あなた自分の責任においてお調べ下さい。もしくは本人ならびに関係者まで直接お訊ね下さい。高いとこ目線でスミマセンね。でも、何しろ本稿は、“あの”LISAGOのプロフィールなのである。ご了承を。

                                 サイトウ ユカ


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